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笹幸恵
2018.4.30 14:56

憲法改正に関する世論調査

今日の読売新聞では、憲法改正に関する

世論調査の結果を掲載していた。

その中でいくつか気になった点を紹介する。

 

まず憲法改正の議論に関心があるかどうかという設問では、

「大いに関心がある」16

「多少は関心がある」50

「あまり関心がない」28

「全く関心がない」5

 

程度の差はあれ「関心がある」という人は66%。

ワイドショーではモリカケやセクハラの問題が取り沙汰されていて、
憲法の話題は忘れ去られちゃったのかな、と
思っていたけど、
この数字を見る限りでは
半数以上の人が関心を持っている。

 

単純に「今の憲法を改正すべきかどうか」を聞いた設問では、

「改正する方がよい」51

「改正しない方がよい」46

と、現時点ではほぼ真っ二つに分かれている感じ。

 

面白いのは、内閣の支持・不支持や

安倍首相に対する好悪の感情が、

憲法改正の賛否に影響を及ぼしていることだ。

 

たとえば内閣支持層では、改正賛成が64%(反対33%)。

不支持層では賛成が42%(反対が55%)で賛否逆転。

また安倍首相に対する気持ちを数値化してもらった上で
出した結果では、

「親安倍」層では改正賛成が66%(反対32%)なのに対し、

「反安倍」層では賛成43%(反対55%)とこちらも賛否が逆転。

安倍首相だから賛成(あるいは反対)という人は多いのだろう。

石破議員や岸田議員など「ポスト安倍」といわれる政治家では、

これほどの差は生じなかったようだ。

 

さらに気になったのは、改正の賛否に応じてその理由を問う設問。

いくつか選択肢があるのだけど、改正賛成派が選んだ理由のトップは

 

「時代の変化に憲法の解釈や運用だけで対応すると混乱するから」63

 

だった。二番目に高い割合を示しているのが、

 

「国の自衛権を明記し、自衛隊の存在を明文化するため」43

 

うん? ちょっとひっかかる。

いまの自民党案は「自衛権を明記」しているか?

明記しようとしているのは「自衛隊」だ。

自民党案では、9条2項のあとに「9条の2」を加え、

「前条の規定は、我が国の平和と独立を守り、国及び国民の

安全を保つために必要な自衛の措置をとることを妨げず」

記している。


「必要な自衛の措置をとることを妨げず」というのは
いくらでも恣意的な解釈ができてしまう。

これは自衛権の明記といえるのだろうか?

それとも設問は自民党案を念頭に置いていないのか。

いずれにしても誤解を招くと思う。

改正反対の人の理由はさらに驚愕。

以下、トップ3だ。

 

「世界に誇る平和憲法だから」54

「改正すると軍事大国への道を開くおそれがあるから」48

「時代の変化に応じて、解釈、運用に幅を持たせればよいから」40

 

おそらく改正反対の人々は、「反安倍」層でもあるだろう。

ならば、安倍内閣がこれまでやってきたことを、

そのまなこをよーーーーく開いて御覧なされよ。

 

いま、あなた方が守りたいと思っている日本国憲法は、

世界が誇る平和憲法なのに、あなた方の望む通り、
安倍さんが時代の変化に応じて解釈を変えてくれましたよ。

そしてアメリカにくっついて戦争できる国になりましたよ。
軍事大国への道を開こうとしているのは、いったい誰?

 

立憲的改憲という考え方は、まだまだ浸透していないのだろう。

「反安倍」「改正反対」の人こそ石頭なのかもしれない。

世界に誇る? 改正したら軍事大国?
本当にそう思い込んでいるのなら、すでに信仰だ。

笹幸恵

昭和49年、神奈川県生まれ。ジャーナリスト。大妻女子大学短期大学部卒業後、出版社の編集記者を経て、平成13年にフリーとなる。国内外の戦争遺跡巡りや、戦場となった地への慰霊巡拝などを続け、大東亜戦争をテーマにした記事や書籍を発表。現在は、戦友会である「全国ソロモン会」常任理事を務める。戦争経験者の講演会を中心とする近現代史研究会(PandA会)主宰。大妻女子大学非常勤講師。國學院大學大学院文学研究科博士前期課程修了(歴史学修士)。著書に『女ひとり玉砕の島を行く』(文藝春秋)、『「白紙召集」で散る-軍属たちのガダルカナル戦記』(新潮社)、『「日本男児」という生き方』(草思社)、『沖縄戦 二十四歳の大隊長』(学研パブリッシング)など。

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